3月14日、私が専門学校に来て2度目の卒業式であり、自分が担任をした初めての学生が卒業する日でもありました。
入学時には、14名(中国5名、ネパール2名、インド3名、ウズベキスタン2名、インドネシア2名)でしたが、中国1名が心の病、中国1名が国の親からの帰国依頼、ネパールの1名は2年の春休みに就職し、もう1名も2年からは帰国を決めており退学、ウズベキスタンの1名は、アレルギー治療のため帰国し戻らず、結局9名の卒業式でしたが、本当に気の合ったメンバーでした。入学当初は、男ばかりでケンカもあったり、こんなクラスで一緒に勉強したくないと言う学生を説得したり、果ては無賃乗車をした学生の引取に行ったり、担任としてやっていけるのかと不安な日々でしたが、2年生になる頃から、徐々に皆の気持ちが同じ方向を向き始めました。それは、就職です。
就職試験のために面接練習をするようになると、彼らのコミュニケーション力が上がって来るのが少しづつわかるようになり、仲間同士で日本語でしゃべったり、情報交換したり、わからないことを教え合い、時には榛名山に遊びに行ったりして仲間どうしの絆が増して行きました。
また、就職の説明会に行くと必ず言われるのが、「JLPT N2ですか? N2でない方はご遠慮下さい。」でしたが、N1,N2を持っている留学生でも日本語のコミュニケーションができない人はいくらでもいます。「とにかく、一度会って話をして見て下さい。」と言って受け入れてもらったのがある上場企業でした。学生をこの会社の見学に連れて行って彼らの帰りを待っていると、にぎやかな話声が聞こえてくるではありませんか。人事課の人と楽しそうに話しながら戻ってくる彼らでした。「どうだった?」「先生、めっちゃ楽しかったよ。いっぱいしゃべってきたよ」。本当に楽しそうに話す彼らを見て、これは大丈夫と確信しました。1週間後、無事彼らは合格し、なんと5年の就労ビザを獲得することができたのです。
そんなことがあった卒業式、セレモニーの最後に予期せぬことが起こりました。事前の打ち合わせなしの担任の先生からの言葉でした。もちろん、私は何も考えておらず、頭が真っ白になった状態で皆の前に立ちました。こんなことは初めてです。言葉が出ないのです。出てくるのは、嗚咽だけでした。六十数年生きてきて、こんな気持ちになったのは初めてでした。
あとで小島先生から言われました。「これが教師の醍醐味だよ」
本当に9人の卒業生、ありがとう。日本語ビジネス卒業生の15人もありがとう。皆の幸せを祈っています。
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